COMPLIANCE MANUAL コンプライアンスマニュアル

平成22年4月1日
初版 制定

はじめに INTRODUCTION

ここに掲げるコンプライアンス・マニュアルは、例外なく全ての役員・従業員が守らなければならない基本原則である。私たちの目指すところは、公正かつ適切な経営を実現し、本事業に与えられた社会的責任を果たしていくことである。
 今回、ここに、当社のコンプライアンス・マニュアルを作成・発行するにあたり、私たちは、経営幹部であろうと従業員であろうと、職位あるいは職務内容にかかわりなく、皆が等しく、誠心誠意をもって、本マニュアルおよび業務に関連する法令・ルールを主体的に遵守することを、そして、より一層倫理的な組織文化を構築していくことを、かたく誓うものである。

平成22年4月1日

目的と基本姿勢 PURPOSE & BASIC ATTITUDE

本コンプライアンス・マニュアルは、当社の業務を遂行するうえで特に重要と思われる問題に関して注意を要する事項をまとめたものである。したがって、これは、すべてを網羅するものではない。あくまでも基本の考え方を示したものである。

したがって、ここで触れられていない問題、また自分だけでは答えを見つけにくい複雑な問題等については、直属の上司、コンプライアンス統括責任者である社長に相談するよう心掛けていただきたい。

大切なことは、私たちが商慣習や手続き等に疑問を感じたら、それを声に出すということである。たとえば、何らかの問題に遭遇した時、それを見て見ないふりをするようなことがあってはならない。日常業務の忙しさに流されて、私たちは、問いそのものをたてることを忘れがちであるが、自分のやっていること、やってきたこと、これからやろうとしていること、これらを常にコンプライアンスという観点から見直す姿勢が大切である。

「自分には関係がない、おそらく他の誰かが解決してくれるであろう」という他人任せの態度、あるいは「ビジネスは綺麗事ではないのだから、皆がやるようにやっていればよい」という無責任な態度は、私たちの会社を、悪くすることはあっても、良くすることはない。働き甲斐のある職場、誇りをもって働ける職場をつくるため、勇気をもって倫理法令遵守の実践に努めていこうではないか。

私たちは、倫理法令遵守にかかわる判断の基準が、最後のところで、自分自身の良心にあること、そして高潔なる人格にあることを強調する。どんなに詳細なコンプライアンス・マニュアルを用意しても、またどんなに多くの法令関連資料を配布しても、すべてを網羅することも、またすべてを理解することもできない。

国際化や情報化、規制の緩和が進展していく中で、またビジネスの迅速さが求められる現代にあっては、もっとも重視されるのは、コンプライアンス・マニュアルの理念に従おうとする、各人の精神態度であり、勇気を伴った良心である。そのため、この良心に基づいた倫理判断をビジネスの基本に据えることが大切となってくる。

ここにいう「良心に基づいた倫理判断」とは、自分の個人的な利害あるいは職場やビジネス上の利害をいったん離れ、公平な第三者の立場から自分のとっている行為の妥当性を問い直すことである。誰の目から見ても、その行為が非難を受けず、また納得できるものであれば、それはまず問題のない行為と考えればよい。

ただし、事態が非常に複雑で判断し難いと思われる場合には、躊躇することなく、直属の上司や関係部署に必ず相談してもらいたい。また、企業としての行動が、法令、定款、コンプライアンス・マニュアル等から逸脱していると思われる場合には、あるいは逸脱するかもしれないと思われる場合には、迅速にその事実を報告していただきたい。問い合わせに関しては、皆さんのプライバシーを守ることを誓うので、安心して報告していただきたい。

もしそうした相談や報告等に対して何らかの報復が加えられるようなことがあれば、私は、事実関係を調査し、ただちにそれを正していく。したがって問題があれば、勇気をもって声に出すよう心掛けていただきたい。こうすることが、私たちの働きやすい職場を作ることであり、また、私たちの会社が、社会と市場から高い信頼を得るための最良の方法だからである。

私たちの目指すところは、ただ1つ。公正な職場と健全な取引関係を築きあげ、仕事を通して社会の発展に貢献していくことである。ビジネスはフェアであることを基本とし、社会を豊かにすることを使命とする。

  • ●コンプライアンス相談・通報窓口

    コンプライアンス統括責任者 千田新一

  • ●社内の基本的なコンプライアンス体制

      各者の役割と責任

    • コンプライアンス統括責任者

      会社の最高責任者として、外部は勿論、社内のコンプライアンスに関して全ての指揮と対応を行う。

    • コンプライアンス監査責任者

      各部課の職員がコンプライアンス・マニュアルを遵守しているかどうかを定期的にチェックし、違反行為の防止につとめること。

    • コンプライアンス監査委員長

      各部課の職員から出されたコンプライアンス上の質問に答え、回答内容の記録を作成すること。また、自信をもって回答できない質問については、コンプライアンス統括責任者の見解を聞き、その結果を記録にとどめること。

      コンプライアンス・マニュアルに違反する事態が発生した場合には、速やかにコンプライアンス統括責任者に連絡し、その指示に従うこと。

  • ●法令やコンプライアンス・マニュアルに違反した場合の罰則

    違反行為に対しては、就業規則等に基づいて懲戒解雇を含む措置をとる場合がある。

基本原則 BASIC PRINCIPLES

  1. 私たちは、本事業のもつ社会的責任と公共的使命を認識し、健全な業務運営を行なっていきます。
  2. 私たちは、法令の文言はもちろん、その精神まで遵守していきます。
  3. 私たちは、自己責任原則を基本とし、フェアで透明なビジネスを行ないます。
  4. 私たちは、顧客の安全と満足を第一とし、誠実に製品サービスを適正な価格で提供していきます。
  5. 私たちは、その他すべての関係者の人格を尊重し、社会経済の健全な発展に貢献します。
  6. 私たちは、国際化時代にあって、異なる文化的伝統や風習を尊重します。
  7. 私たちは、利益と倫理が相反する場合、迷わず倫理を選択します。
  8. 私たちは、反社会的勢力に対しては断固とした態度で臨みます。
  9. 私たちは、未来世代に、より豊かで公正な社会を残すよう努力します。
  10. 私たちは、難解な倫理問題に直面した時、誰もが満足できるような解決策を積極的に創造していきます。

遵守事項 COMPLIANCE MATTERS

顧客に対する私たちの行動規範

「会社の利益」という考え方は、不正な方法によって利益をあげることを正当化するものではありません。私たちは、法令とその精神を遵守し、自己責任原則にたって、全ての顧客とフェアで透明なビジネスを行ないます。これが結局のところ会社の利益につながると確信しているからです。

  1. (守秘義務)

    顧客の秘密を守ることは役職員の最も基本的なルールです。役職員は、顧客との取引を通じて知り得た情報を、本人の同意がある場合、法令に基づく場合等の正当な理由なく、他に漏らしてはなりません。

  2. (説明義務・適合性の原則)

    当社は、施工方法や工事に関する多くの情報を保有しています。これは取引において、顧客よりも有利な立場にあることを意味します。このため、役職員は施工方法や工事、サービスを提供する場合、必ずその概要とリスクを相手方が理解できるような形で説明しなければなりません。また顧客の知識・経験・財産の状況等から判断して、その工事等が不適当と思われる場合には、工事等の勧誘そのものを控えなければなりません。言うまでもなく、顧客に誤解を与える不当表示や誇大広告は回避する必要があります。

  3. (断定的判断提供の禁止)

    役職員は、リスクのある工事等を行う場合などは、断定的判断を示して勧誘を行なってはなりません。勧誘にあたっては、説明はできるだけ合理的な資料に基づいて行ない、顧客の誤解を招くことのないよう十分配慮します。

  4. (誠実な態度)

    役職員は、仕事の一環として顧客の様々な相談に応ずることがありますが、いかなる相談であれ、無責任な回答を行なってはなりません。顧客から苦情があった場合にも事態を正確に調査し,顧客の立場にたった誠実な対応をとります。

  5. (顧客との癒着の排除)

    役職員は、いかなる行為であれ、顧客と会社の立場の違いを曖昧にするような依頼に応じてはなりません。顧客重視とはある特定の顧客の依頼を何でも受け入れることではないからです。

  6. (情実取引の排除)

    役職員は、縁故者や友人、その他何らかの個人的な利害関係のある顧客と契約を結ぶ場合には、直属の上司あるいはコンプライアンス統括責任者等に報告し、適切な指示を受けなければなりません。私たちは誰から見ても「常にフェアな取引を行なっている」と言われる会社を目指しているからです。

顧客以外の取引先やその他機関に対する私たちの行動規範

フェアな取引を行なうため、私たちは、納入業者、監督機関、その他職務上接触する様々な組織や個人との関係を、公正かつ透明なものとしなければなりません。

  1. (公正な取引先選定)

    役職員は、品質、サービスの内容、価格、過去の実績、信頼度等を総合的に判断し、それに基づいて取引先を決定しなければなりません。このため、納入業者等の直接取引関係がある取引先から金品や接待を受けてはなりません。これにより、本来、私たちが下していたであろう適正なビジネス上の決定が歪められるからです。またたとえ歪められなくとも、第三者より、不透明・不公正な関係であるとの疑いを持たれかねないからです。

  2. (リベート要求等の禁止)

    自己の立場を利用して、たとえ間接的な表現でも取引先に金品や接待を求めてはなりません。こうした行為は法令に反することもあり、また信頼に基づいたビジネス関係を傷つけてしまうからです。なお、許容範囲内にあると思われる行為でも、それが第三者の目に不自然な行為として映る場合には、これを差し控えます。自分の行動が誤解を招くかもしれないと感じたら、その行動は慎んで下さい。

  3. (過剰な贈答・接待等の禁止)

    役職員は、直接の取引関係がなくとも、常識の範囲を超えるような贈答や接待を慎まなければなりません。それが将来の意思決定に何らかの悪影響を与えてくるかもしれないからです。意図せず、問題あると思われるような事態に陥った場合、その事実をコンプライアンス統括部署や監査部署に報告し、適切な指示を受けて下さい。

  4. (事後措置)

    役職員は、やむを得ず、当社の規定に反する贈答品や接待を受けてしまった場合、その事実を直属の上司あるいは関係部署に伝え、相談の上、適切な措置をとらなければなりません。適切な措置とは、状況に応じて、丁寧な断りの文書を添え会社の費用でそれを返送すること、それと同額程度のものを会社の費用で戻すこと、便益を受けた個人をその取引先との仕事から一定期間外すこと等が考えられます。

  5. (その他便宜供与への対応)

    取引先との関係では、金品や接待に限らず、様々な便宜供与の申し出がでてくるかもしれません。たとえば、相手方が転職や退職後の就職といった話をもってくること、親族や友人の就職先を世話してくれること、不動産を有利な価格で譲ってくれること等がそれです。そうした状況に置かれた時、私たちは、その事実をまず直属の上司に伝え、適切な指示を受けなければなりません。

  6. (公務員との健全な関係)

    公務員・みなし公務員との関係については、健全な関係を維持するよう配慮しなければなりません。たとえば、接待の場合、常識的な金額であれば、担当課長の責任において行なうことができますが、それを越えるものについては部門長への報告と了承が必要です。なお、常識的な接待であっても、当該公務員の置かれた立場や職権から考え、その接待が不自然と思われる場合には、これを差し控えなければなりません。

社会に対する私たちの行動規範

顧客、取引先以外にも、私たちには数えきれないほどの利害関係者に対する法的・社会的・倫理的な責任があります。中でも、社会的な合意に基づく法令やルールの遵守は、社会に対する最低限の責任です。

  1. (関連業法の遵守)

    役職員は、本事業に関連する法令やガイドライン等を正しく理解し遵守しなければなりません。とくに、建設業法、個人情報保護法、独占禁止法、下請法等は正しく理解し、これらに準拠して業務を行う必要があります。

  2. (独占禁止法の遵守)

    役職員は、業務を進めるにあたり、同業者と話し合い、協定を結ぶといった行動をとってはなりません。またそのような疑いをもたれる言動も慎まなくてはなりません。なお、公共工事入札談合に該当するおそれのある行為や行き過ぎた干渉も認められません。これらはいずれも独占禁止法に違反する可能性が高いからです。

  3. (不当な取引方法の禁止)

    役職員は、当社の効率性によって達成した低価格で工事等を提供するのではなく,採算を度外視した低価格によって顧客を獲得したり、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがある不当廉売を行ってはならない。

  4. (税法の遵守)

    当社は、関係法令に照らしあわせ、納税の義務を法に沿った形で果たしていきます。関係する役職員は、これを遂行するうえで必要となる事務を誠実に行なって下さい。私たちは、脱税と言われかねないような行為は一切致しません。

  5. (知的財産権の尊重)

    役職員は、著作権をはじめとする他人の知的財産権を尊重しなければなりません。とくに、コンピュータのソフトウエアや出版物を違法にコピーしてはなりません。インターネット上の情報も、それをダウンロードする時、著作権に関する条項を確認する必要があります。

  6. (反社会的勢力との対決)

    役職員は、反社会的勢力に対して断固とした態度で対応しなければなりません。さらに不透明な癒着と言われかねない一切の関係を排除する必要があります。もしも意図せずしてそうした団体や個人と何らかの関係をもってしまった場合、その事実を迅速に関係部署に報告し、事後の行動に関して適切な指示を受けます。

  7. (当局への報告・捜査協力)

    当社は、法令違反行為等社会的にゆるされない問題が社内で起こった場合、またその疑いがある場合、これを当局へ報告し捜査にも全面的に協力していきます。役職員一人ひとりも、当社のこの基本姿勢を踏まえ、責任ある行動をとるよう心掛けて下さい。

  8. (環境への配慮)

    地球規模で問題となっている環境保護に対し、意識の向上に努め、関係法令(廃棄物処理法、土壌汚染対策法、建設リサイクル法、省エネ法)を遵守します。

より良い企業風土を作るための私たちの行動規範

風通しのよい企業風土は、コンプライアンス確保の大前提です。私たち一人ひとりの努力で、より良い企業風土を作りあげていきましょう。

  1. (差別の禁止)

    雇用や処遇にあたっては、各人の仕事内容や業績にしたがって公平に評価しなければなりません。また、性別、人種、国籍、宗教、思想、身体上のハンディ、その他個人的な特性に基づいた差別は、いかなる場合であっても、これを行なってはなりません。はっきり差別とは言えない場合でも、不快感を与えるような言動は差し控えて下さい。ある個人の身体的な特徴を材料にした冗談等も、働き甲斐ある職場を作るという、当社の目的に反します。

  2. (セクシャル・ハラスメントの禁止)

    当社は、労働法等の関係法令に則った適正な職場環境の整備に努めていきます。したがって、いかなる場合であっても、自分の地位や立場を利用して性的関係を強要することは許されません。また、異性が嫌悪感をおぼえるような冗談を繰り返す等、職場の環境を悪化させる行為も同様に禁止します。

  3. (プライバシーの保護)

    会社が有する役職員の個人情報は、これを厳正に管理し、本来の目的以外には使用してはなりません。また、裁判所の命令等の正当な理由がない限り、本人の承諾なく、これを外部に開示することはありません。

  4. (不透明な慣習の排除)

    当社では、部下から上司への金品の提供は中元・歳暮の類も含め、認めません。それが昇進や昇級、評価の決定の公正さに対する信頼を揺るがすおそれがあるからです。ただし、冠婚葬祭等に関しては、常識の範囲でこれを認めます。

組織の一員としての行動規範

役職員は「会社の利益」という視点にたって行動する責任があります。したがって、自己または第三者の利益を図るために会社に損害を与えるような行動をとったり、有形無形の会社財産を私的な目的で使用すること等は、絶対に差し控えなければなりません。

  1. (内部ルール等の遵守)

    役職員は、就業規則等に定められた遵守事項を守り、内部規定に則って忠実に職務を遂行します。業務上の判断やその実施に際し、かかる行動が内部ルールに反せず、しかも会社の利益に合致するかどうかを考えなければなりません。

  2. (利益相反行為の禁止)

    役職員は、自己の利益と会社の利益が相反することのないよう行動します。たとえば、仕事を通じて得られたビジネス・チャンス、人間関係、顧客リスト、顧客の信用情報等を使って、自分の個人的利益を追求することなどは認められません。

  3. (会社財産の尊重)

    役職員は、公私を峻別し会社財産を尊重しなければなりません。すべての会社財産は、仕事を遂行するという目的で、私たちに貸与あるいは提供されているものです。したがって、会社の備品や消耗品を持ち帰ることは言うまでもなく、業務の遂行とは無関係な形で、インターネットや電子メールを使用することも慎まなければなりません。

  4. (インターネット使用に関する注意事項)

    インターネットの使用に関して、役職員は、別途定める電子情報・文書管理規定に従って行動して下さい。不適切、不快、他人を侮辱するような内容の情報を当社のサイトに掲げること、またそのようなサイトにアクセスすることも認められません。

  5. (公正な経費処理等)

    役職員は、旅費や交際費、労働時間、有給休暇等に関する報告を正確に行なわなければなりません。なお、会社からの精算金支払額に過不足等、不明な点があった場合、直属の上司や関連部署に問い合わせて下さい。

  6. (非公開情報の扱い)

    役職員は、仕事を通じて得られた非公開情報について、秘密を保持しなければなりません。また、それら情報が不注意により外部に漏れることのないよう十分注意を払わなければなりません。たとえば、機密情報をファックスで送ったりすること等も危険ですので、基本的に、そうした行為は差し控えて下さい。

  7. (日常的な情報管理の意識)

    役職員は、職務上、知り得た顧客情報、営業秘密等一切の機密情報を厳重に管理し、外部への漏洩を防止しなければなりません。とくに友人や会社仲間等との会話で、しかも飲食店や車中といった公の場で、ある個人や会社について話をすれば、それが外部への情報漏洩となる可能性をもっています。また、たとえ退職後であっても、在職期間中に知り得た機密情報は他人に語ってはなりません。

  8. (政治運動等への参加)

    役職員が政治運動等に参加する場合、それはあくまで個人として行ないます。会社名を使って政治活動を行なうと、それがあたかも会社の意見や行動であるかのような誤解を招くからです。

  9. (対外広報)

    会社の情報開示はあくまでも広報関連部署を通じて正式に行なわなければなりません。外部の報道機関やアナリスト等からインタビューを求められた時に、個人的な意見を述べれば、それが会社としての意見であるかのように受けとられかねないからです。また語ってはならない情報を過って公表してしまうことも起こり得ます。それゆえ、役職員はこのような状況に遭遇した場合、直属の上司や広報関連部署に連絡し、適切な指示を受けて下さい。